〜心のままに歩く旅〜
アンタルヤが、トルコで一番好きになった

アンタルヤが、トルコで一番好きになった

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石を削るおじちゃんとペンダント交渉、石ビーチ、猫のおしっこ。アンタルヤが、トルコで一番好きになった日

上のベッドのクルド人が電話を始めたのは、たぶん朝8時台だった。 声がデカい。イヤホン越しでも、太い声が部屋に響く。 再び寝た。次に目が覚めたのは12時過ぎだった。

昨日は早朝フライト。削られた睡眠を取り返すように眠れたのは、悪くない。 今日は一日、アンタルヤを歩き回る日だ。

ラップトップを抱えて宿を出ようとしたとき、ブラジル人の女の子が部屋に入ってきた。 「どこから来たの?」と自分から聞いた。コロンビアだと思って、昨晩学んだスペイン語を使おうと狙っていたのに、ブラジル人だった。 そのすぐ後に隣のロシア人も入ってきて、How are you? から話がつかまって、しばらくそこから出られなくなった。 ドミトリーあるある。悪くないけど、時間の使い方が難しい。

旧市街(Kaleiçi)とドネルケバブ

まず腹ごしらえ。Googleマップで見つけたドネルケバブの店へ歩いた。

客は少なく、静かな店だった。味は普通に美味しい。 そしてここでも、アイランを頼んだ。トルコに来るたびに注文している気がする。 昔は苦手だった。今はすっかり好きになった。舌って、変わるんだな。

腹を満たして、旧市街(Kaleiçi)へ向かった。

石畳の路地に、カーペット屋、雑貨店、カフェが並ぶ。観光客も多いが、ローカルも混在している。 アゼルバイジャンの旧市街に似た景色だけど、こっちはもっとカラフルで開放的だ。 24度。日差しが強い。

石を削るおじちゃんとの値段交渉

歩いていると、道端のベンチに座ったおじちゃんに話しかけられた。 China? Korea? と来たので、日本だよ〜と返した。 少しスモールトークをしていたら、気づけば店の中にいた。

おじちゃんはアンカラ近くの街で採取した石を削り、像やアクセサリーを作っている職人だった。 棚には大量の作品が並んでいた。 太陽の形のペンダントが目に入った瞬間、これいいな、と思った。

「850リラだけど、今日は450リラにするよ」と言う。 もともと450リラだろうな、と思いつつ、まあ450なら価値はある。 「400でどう?」と聞いたら、いいよ、と返ってきた。

ひもをつけて、名前の刻印もしてくれるらしい。 支払いは現金200リラ+カード200リラ。 すぐキャッシュが欲しそうな様子が滲み出ていた。 客がなかなか来ない日は、こういう店には堪えるんだろう。 ビジネスは一筋縄じゃいかない。

旅を楽しんでね、と笑顔で見送ってくれた。 一緒に写真も撮った。素敵な笑顔だった。

港から崖の上へ

旧市街を抜けると、港が見えた。

白いヨットや漁船が並ぶ奥に、ローマ時代の城壁がそびえる。 地中海の街に来たんだ、という実感がようやく来た。

さらに奥へ歩くと、断崖の上の展望台に出た。 ここはリアス式海岸らしく、眼下に広がる地中海との高低差がすごい。

写真を撮ってもらおうと、隣のトルコ人にお願いした。 クオリティは最悪だった。トルコ人男性はカメラのセンスが本当にない(笑)。

観光名所を訪れては次、を繰り返す観光客がたくさんいた。 重そうで、目が疲れている。 長く旅をしている人と、休暇で来ている人の違いは、雰囲気と目でわかる。 自由を束縛されてストレスの多い社会 にいると、それが服装や目線ににじみ出てしまう。 なにも考えずに地中海を眺めているだけで、幸せだった。 期限のない旅だからこそ、こういう時間が生まれる。こういう内なる旅ができる。

アンタルヤにいる人はみんなChill。 アンカラやイスタンブールの人と比べて、本当に自由で緩い感じがある。 やっぱり、場所が人間の性格を変えているんだと思う。 どこに住むか、誰とパートナーになるか、何をするか。 この3つの選択のうち、場所が一番大事だなと改めて感じた。 海に近い場所に、自分の身を置きたい。

1時間歩いて、石ビーチへ

港から海岸まで、歩いた。だいたい1時間。

歩道がきれいに整備されていて、歩くこと自体が気持ちいい。 フリオ・イグレシアスを聞きながら、地中海の潮の匂いを吸いながら歩く。 だいたい2回に1度、猫が現れる。

やっと、ビーチに着いた。

ビーチは砂ではなく、1cmくらいの丸い石だった。 通常のビーチより圧倒的に歩きやすい。 海の色は、本当に地中海の色だった。水色。 匂いも澄んでいる。海藻が育てるような水じゃない。 手を入れると、冷たく透き通っていた。

隣ではトルコ人グループがバレーボールをしていた。 バトゥミ以来の海。やっぱり海はいい。

ベンチに座って、ぼんやりしていた。 あのグループはずっと友達なんだろうか、それとも今だけの仲なんだろうか。 純粋に笑いながら遊べる仲間が、今の自分にはいない。 26歳になって、まだそれを羨ましいと思う。

猫公園で洗礼を受ける

帰り道、猫がたくさんいる公園を通った。

生まれたばかりのふわふわした子猫がいた。触った。 そしたら、おしっこをかけられた。

クソ、と思った。 すぐそばに噴水があって助かった。手と足を洗って、まあいっか、となった。

イスカンデルとサッカーの夜

ホステル近くのロカンタは満席だったので、別の店へ。 イスカンデルとアイランを注文した。

薄切りの肉にトマトソース、上にヨーグルトが乗る。 シンプルなのに、止まらない。 アイランは今日これで2杯目になった。

食べ終えてカフェで日記を書いていると、外が急に騒がしくなった。 クラクションが鳴り響く。トルコがサッカーで勝ったらしく、街が一体になって盛り上がっていた。 日本だったら「迷惑」で一蹴される。ここではそんなことを思う人間がいない。 こういうところだよ、とコーヒーを飲みながら思った。

カフェのWifiは40分で切れる設定だった。 もう1コードもらおうとすると、「何か注文したら」と言われた。 不要、と断った。このカフェは、リピーターを1人失った。 新規よりも既存客を大切にするのが今のビジネスの基本なのに、と思った。 こういうところなんだよなあ、と思いながら、荷物をまとめた。


今のトルコの中で、アンタルヤが一番好きだ。 海が近い。人がChill。誰も急いでいない。 場所が人を変えるというのは、本当のことだと思う。

明日はFathiyeへ向かう。 きっかけは、ホステルで出会ったロシア人のDenisが話してくれた旅の話だ。 そのDenisと話せたのは、ロシア語を話せるからだった。 Antalyaへ来たのも、オンラインで出会ったロシア人の友人と、トルコ人のベラが教えてくれたからだった。 本当に、何が起こるかわからない。 こうやって、僕の行き先は決まっていく。

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● Profile

Kota Ishihara(いしはら こうた)

近畿大学理工学部生命科学科卒業。卒業後、Web制作を独学で学び、2022年よりフリーランスとして活動開始。現在は世界一周をしながら、Webエンジニアとして働きつつ、「旅するように生きる。感動するように働く。心でつながる。」をテーマに、ブログ・YouTube・SNSで発信を続けている。観光地を巡るのではなく、“その国の空気を吸い、その土地で暮らすように滞在すること”を大切にしている。将来の夢は、ヨーロッパに拠点を置き、クリエイティブで多国籍なチームをつくり、国境を越えたプロジェクトを生み出すこと。そして、自ら操縦桿を握るパイロットになること。音楽とファッションは人生のインフラ。イヤホンには非常に辛口。尊敬する人は岡本太郎。

#同じ旅の余韻