〜心のままに歩く旅〜
カルダノサミット滞在8分、トイレ5分

カルダノサミット滞在8分、トイレ5分

冒険の記録, 面白い体験
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カルダノサミットに挑んで8分で逃げた、不器用な22歳の夜

起きたら14時過ぎだった。

11時間も寝てしまった。10時に起きるつもりだったのに、昨日の夜の疲れが全部出たらしい。自分でも驚くほど深く眠っていた。

にんにくの誘惑

せっかくだから、YouTubeで見て気になっていたシュクメルリを食べようと思った。向かったのはRachaというローカルなジョージアンレストラン。自由広場の近くにある。

イヤホンで音楽を聴きながら歩いた。今日はカルダノサミットもある。予約したんだから、行かないわけにはいかない。

途中、国立博物館の前を通って、行きたいなぁと思ったけど、18時閉館。また後日。

Rachaに着くと、思ったより空いていた。観光客よりもローカルの人のほうが多い。毎回、飲食店に入るのは緊張するんだけど、そろそろ慣れてきた。

おばさんがメニューをくれて、暖炉の近くに座った。すごく暖かい。

今日は雨だった。ジョージアで雨が降るのは珍しい。傘をさすほどではないんだけど、髪はぐしゃぐしゃになるし、チェスターコートも濡れてしまっていた。嫌な感じ。

メニューを見ると、シュクメルリがあった。ただ、カウンターで注文するスタイルらしい。値段は30ラリ(≒1,500JPY)。メニューの中で一番高い。

ちょっと高すぎる。でも、本場のシュクメルリを食べてみたかったので、注文した。

地下の店内は3G回線がまったく繋がらない。待っている間、日記を書いていた。途中、男の人が暖炉で肉を焼き始めて、白い灰が飛んでくる。席を移動した。

30分後、ついにシュクメルリの登場。

なんと、大量のにんにく。

今日はカルダノサミットで人と話す予定なのに。にんにく臭くなる自分を想像して、ああ間違えた、と思った。

でも、頼んでしまった以上しょうがない。

シュクメルリは、牛乳と鶏肉とにんにくを混ぜて焼いた感じの料理だった。にんにくの香りが香ばしくて、本当に美味しかった。一度食べたらいいかなっていうくらいのボリュームだけど、味は最高。

食べ終わるまでに30分くらいかかって、汁も周りにたくさん飛んだ。きちんとナプキンですべて拭いた。

それにしても、本当ににんにくだった。でも、最高。

滞在8分の挑戦

シュクメルリを食べ終わって、ファブリカに直行。帰る途中、雨がさらに強くなって、チェスターコートはベチャベチャになった。

ファブリカで少し休憩して、カルダノサミットのスケジュールを確認した。19時から気になる講演会がある。会場までは歩いて30分くらい。ちょうど30分前に出ることにした。

まだ眠い。でも、準備をして出発。

傘を持っていこうと思ったけど、みんなさしていないし、そこまでの雨じゃないから大丈夫かなって。

歩き始めて10分。本降りになった。まじでやってしまった。急いで早歩きで向かった。

サミットの会場はビジネスホテルのような、大きな高いビルだった。近づくたびに、ドキドキしてくる。

22歳の若造が、どの協会にも属していなくて、ブロックチェーンすらまともに理解していないやつが、ビジネスマンだらけの会場に行くんだもの。

しかも、雨でメガネはびしょ濡れ。ハンカチでメガネを拭いて、外で一息ついて、中に入った。

受付でカルダノサミットは何階かを聞くと、17階。

エレベーターの中でミラー越しに記念撮影。本当に緊張している自分。でも平気を装って。

17階に到着すると、すぐに机があって、カルダノのグッズが並んでいた。帽子やらTシャツやら。

受付らしい人はいなくて、おじさんがいた。その人はカルダノのCo-founder。スマホの予約画面を見せて、「これもらっていいの?」と聞いた。

緊張しすぎて、本当に自信がないように振る舞ってしまった。おじさんも困惑していて、もうひとりの人が帽子を2つくれた。トートバッグと、首から下げる参加者の札ももらった。Tシャツは緊張していて、もらうのを忘れた。

本当に小さな会場で、エレベーターのすぐそばにそのCo-founderの人がいる。もう僕の居場所がない。

裏側に回ると、ロマンチックな夜景が広がるバーのような空間があった。ワインを飲んでいる人、夜ご飯を食べている人。みんな30代くらいのビジネスマンばかりで、一人でいる人が誰一人いない。

本当に居場所がなかった。あああああ、ってなった。

でも、この経験こそ大事だなって思った。

とりあえずトイレに駆け込んだ。しかも、そのCo-founderの人に「トイレはどこですか?」って質問した。カルダノの副創設者に話す内容が「トイレはどこですか?」って。ちょっと笑けた。

トイレに5分。どうしようか、この先どこに行こう。居場所がない。

通路に出て、携帯をいじって、友達に助けを求めた。作戦はこうだ。電話をして、緊急なことが起こった体で、エレベーターから降りる。だけど、エレベーターのすぐ側にCo-founderの人がいるから、その人がどこかへ行くのをひたすら願った。

ラトビアに住んでいるウクライナ人の友達、Aprilに電話した。

「助けて!周りがヤバい人ばかりで、どうしていいかわからない!場所間違えた!」

そのとき、Co-founderの人が目の前を通り過ぎた。チャンス。受付側に行くと誰もいない。すぐにエレベーターの下行ボタンを押した。

コートを取る前に押したのに、なんとすぐ開いた。「ちょっとまって!」と言いながらコートを取ってきて、飛び乗った。

ドアが閉じた瞬間、安心が走った。

もうやばかった。本当に。

史上最速。多分、カルダノサミットで会場に入って出た人の中で、一番最速だと思う。滞在時間たった8分。うちトイレ5分。

本当に自分を恥じた。なんて意気地なしなんだって。人脈をつくりたくて、経験もしたくて行ったのに。将来は仮想通貨のプロジェクトにも参加したいし、夢があるのに。経験以外なにも得られていない。

だけど、大きな品があった。カルダノのトートバッグと帽子。これは、会場へ行かないともらえないもの。貴重な失敗おみやげ。

不器用な夜

Aprilと電話しながらファブリカまで帰った。ちょうど、僕が送った荷物が昨日ラトビアに到着したみたいで、Aprilは本当に嬉しがっていた。

「とりあえず僕におめでとうって言って!」って頼んだら、AprilはCongratulations!と言ってくれた。

ファブリカで洗濯をすることにした。コインと洗剤をもらって、洗濯室へ。

まず、順序を間違えてコインを失った。受付にもう一度もらいに行く。

次は、コインを入れてスタートを押したのがなんとドライ機のほう。ウォッシングマシーンは下だった。ああ、またやっちゃった。

また受付へ行って、説明して、コインをもらって、3度目の正直でやっと洗濯機を使えた。なんて不器用なんだよ。自分で笑っちゃった。

部屋に戻って日記を書いた。今日は新しいゲストが入ってきて、両隣の2人ともいびきがすごかった。一睡もできなかった。

人生はおもしろい。こうやって、失敗の日こそが本当におもしろい。自分が自分を笑う。なにしてんだって。

場違い感がすごかった。みんな30代のガチのビジネスマンばかりで、僕は22歳。受付のおじさんにはバーバリーのチェスターコートを見られて、クソバカにはされなかったけど、下に見られた。すごくわかった。

だけど、これはみんなが通る道。挑戦する者の道。

いつか、これを笑い話にしてやる。

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● Profile

Kota Ishihara(いしはら こうた)

近畿大学理工学部生命科学科卒業。卒業後、Web制作を独学で学び、2022年よりフリーランスとして活動開始。現在は世界一周をしながら、Webエンジニアとして働きつつ、「旅するように生きる。感動するように働く。心でつながる。」をテーマに、ブログ・YouTube・SNSで発信を続けている。観光地を巡るのではなく、“その国の空気を吸い、その土地で暮らすように滞在すること”を大切にしている。将来の夢は、ヨーロッパに拠点を置き、クリエイティブで多国籍なチームをつくり、国境を越えたプロジェクトを生み出すこと。そして、自ら操縦桿を握るパイロットになること。音楽とファッションは人生のインフラ。イヤホンには非常に辛口。尊敬する人は岡本太郎。

#同じ旅の余韻