環境がすべてを変える、バリの教訓
チャングーにいたときは、なにもなくても笑顔で海に向かって歩いていた。 クタに来てから、笑顔なんてなかった。
朝起きて、シャワーを浴びて、今日はなにをしようかなぁって思う。 スケジュールに追われなさすぎる生活。だけど、追われなさすぎると逆に暇になりすぎて、刺激が少なく、なにか縮んでしまいがちに感じる。
今日はYOSHINOYAへ行くことにした。 バリ島に吉野家があるとは思いもよらなかった。
YAKINIKUのLサイズにタルタルソーストッピング。デザートにインドネシアのローカルデザートを注文した。 20分くらい待って、2階の席で食べた。

2階の窓から見えるクタの街。
自分をもっとヨーロッパの文化や雰囲気に溶け込ませたい。もっと自由に、気軽に生きたい。
すると、昨日の夜にファミマの前で話しかけてきたおじさんがYOSHINOYAに来ていた。 「ああ昨日の子だね!元気?」って話しかけてくる。
おじさんは日本食レストランの周辺に待機して、話しかけてきては高額で車をレンタルさせようとする人だった。 それはすぐにわかる。
だけど、僕は完全に無視した。あたかも外国人のような感じで。 おじさんはきょとんとして、何も話してこなくなった。
「無視」の効果は絶大だった。 でも、逆にされた側は「巨大なトラウマ」になる。だから、申し訳ないことをしたなぁって思ったし、そんな自分も嫌だった。 同時に、クタも嫌になってしまった。

YOSHINOYAを出て、海の沿岸をひたすら歩く。 イヤホンでフランスの曲「Les lacs du Connemara」を聞きながら。
超絶暑くて、汗が止まらない。 だけど、一つのカフェを目指してひたすら歩く。

波はチャングーに比べてつまらなかった。 イヤホンをしていても、サーフィンの勧誘がたくさん来る。無視をする。
40分くらい歩いて、カフェに到着。 扉を開ければ、そこはヘアカットの美容院だった。
なんやねん。
しょうがなくカプチーノを注文するも、ホットが出てきた。 アイスを頼んだよ、としっかり伝えて、アイスカプチーノをもらった。
なんだか、今日は不運な日。 だけど、こんな日もあるよねって思う。人生、いつもハッピーなわけがない。自分に言い聞かせる。
カフェを出てからは、ひたすら歩き続ける。

歩きながら、感じることがある。
やっぱり、「環境」の効果は絶大だなぁって。
チャングーでは笑顔だったのに、クタでは不満ばかり。 こんな自分は嫌いだ。
ここから学べる教訓。 「環境に徹底的に、最優先にこだわれ」ということだった。
環境にこだわるからこそ、その環境に似た人たちが集まり、その人たちと関わるからこそ、自分の人相も変わる。 すべて環境なんだ。 どんな職業をするかよりも、どこに自分を置くかが大事になってくる。
もう一つのカフェに到着。 スムージーを注文して、日記を書いたり。

海の海岸沿いを歩いて、ホステルに帰ることにした。 シャルル・アズナブールとColdplayを聞きながら。
夕日がちょうど沈むころだった。 僕は夕日に逆らって歩く。

後ろを振り向くと、ぼんやりと夕日と暗い雲が見える。 赤色の部分は、まるで僕の内側にある巨大なエネルギーに見えて、暗い雲がそのエネルギーを邪魔しているように思えた。
一人でひたすら考える。 今まで見えていなかった部分が、自分の中からどんどん飛び出してくる。 輝くものなんてない。ほとんどが、すごく深いダークな部分。
だけど、古いものを外に出して、自分はどんどん内側から新しくなっていく。 苦しい。だけど、自分自身で考えられている証拠。 だから、自分を認めてあげる。
途中、間近で花火が上がっていた。 こんなに近くで花火を見るのは初めてかもしれない。
ホステルでシャワーを浴びて、外のマクドナルドでなにか食べようと外出する。
案の定、昼に吉野家にいたおじさんがまた外にいた。 僕に薬を売ってきた。もちろん無視して、いらないと言う。
だけど、僕が行ったあとでも大声で叫んでくる。 本当に怖い。
ここで初めて、多くの女性が日常的に感じている恐怖がわかったかもしれない。 僕は、ただ大声で怒鳴られただけ。だけど、それだけでこんなに怖い。 多くの女性はこの延長線上に、もっと恐ろしいことがあるのだと思うと、力が抜けるほど怖かった。 そんなことを想像しただけで、恐ろしい。 友達のCiciが言っていた、「女性はどこにいても常にそういう恐ろしさを感じている」ということが、身をもってわかった。
ケンタッキーにもマクドナルドにも人がいっぱいで、夜ご飯を諦めた。 ホステルでピーナッツを食べることにした。
回り道をしてビーチの側を歩くと、またあのおじさんがいた。 「薬いらないの、どこいくの」としつこく来る。
昼に無視したのは正解だった。僕の直感が当たった。
ホステルの1階で日記を書いていると、おじさんの叫び声が聞こえてくる。 近くではフランス人がタバコを吸い、その煙が直で当たる。
早くクタを脱出したい。
ふと考える。
チャングーのホステルにいたときの、ノルウェーの友達やフランス人のLenaの雰囲気がすごく好きだなぁって。
彼女たちに共通しているのは、内向的であること。 自分自身にすごく興味があって、心が広くて、寛大で、偏見がない。 すごく平和な感じがする。
僕はあのような人たちがいる環境で、人生を育みたい。
それは、自分に対しての大きな発見だった。




