グレッグが話しかけてきた。「この後コーヒーでもどう?僕は今日は休みだからホステルにいる必要はないんだ」
朝のミーティングに参加した。勉強会の方針を決定する内容だった。僕はわからないところをみんなの前で質問したんだけど、自分の作っているメディアを見せるのがすごく恥ずかしかった。それに、そこに使っていた言葉がけっこう過激だった(実は、僕は自分自身にとてつもなく厳しい)ので、みんなに引かれてしまったんじゃないかって思ってしまったり。だけど、別にいいんだ。海外なんて、そんなことは当たり前なんだから。
そんな感じでミーティングが終わった。これから作業をしようと思っていた矢先、Mapshaliaにご飯を食べに行きたいって思って片付けをしていたところに、グレッグからの誘い。僕はそれを受けて、一緒にカフェに行くことにした。
クリスマスカフェで語り合う午後
カフェはすごくおしゃれで、まさにクリスマススタイルだった。赤色にクッキー色の内装。とにかくおしゃれ。店内には野良犬が寝転んでいる。汚いっていう印象があるかもしれないけど、別に汚くないんだよなぁ。日本の野良犬とは違う感じ。みんな優しくなにかあげていたりする。

僕たちはそこで3時間くらいお話をした。彼はどうやら今ジョージアに来ているのは、ヨーロッパで仕事を探している最中だからだとか。オンラインでマーケティングを学んでいるけど、全ての仕事の経験が音楽関係や映像関係なんて(笑)。
だから、僕と一緒だねって。僕も大学で理系を専攻していたのに、今はWeb関係の仕事をしているし、大学時代は語学しか学んでいなかった。本当に似ているなぁって。それに、彼はカザフスタンの北のほうの出身で、ロシアに近いらしい。だから、今の地元の気温は−20℃くらいだとか。さすがにやばいって思った。
彼はミュージシャンでギターを弾いたり、歌ったりもするし、一番好きなことは映像編集や映像の仕事らしい。なんて素敵なんだろうって。インスタグラムを見ても、本当に幻想的な感じで、彼にしかないセンスだなぁって思った。

僕はせっかくなのでエスプレッソの2倍の苦さのコーヒーを注文した。それから、チョコレートクッキー。グレッグは小さなケーキとカプチーノ。僕たちは本当にほのぼのと一緒に芸術について語り合った。
彼もなにか一つのことにプロフェッショナルっていうわけではなくて、映像編集、撮影、カメラ、写真撮影、音楽制作、ギター、ボーカルとありとあらゆることをしているから、デジタルクリエイターって呼んでいるだとか。本当にそのとおりでいいと思う。
僕は、職業なに?って聞かれた時は、必ず「人間」って答えるようにしている。なぜなら、Webデザイナーって言ってしまうと、それ以外の可能性を閉じちゃうから。僕を一つの場所に閉じ込めるのは嫌なんだ。そうしないほうが、たくさんのことに挑戦できるだろう?
例えば、「人間」って言えば、なんでも有りだ。だから面白いんだよ。それでこそ、人間の本来の生き方だろう?人間は昔、職業なんてなかった。今になって文明が発達して、子孫を残すための一つの戦略として職業っていうものがある。それだけだ。だから、本来はみんな「人間」が本来の職業。もっと大きく、視点を大きくもとうではないか。
カメラの話と、ストリートフォトへの決意

やっぱり、人と話すことが一番の勉強になり、友達にもなることができ、人の話を聞くことによって相手は気持ちよくなるんだからコミュニケーションの向上にもなる。いいことしかない。
グレッグはカメラについて本当にたくさん知っていた。F値だったり、シャッタースピード、ISO感度を調節して写真撮影をしているらしい。彼の富士フィルムのカメラはとってもかっこよかった。フラッシュもぱっと出てきて、なんて洗練されたカメラなんだろうって。
僕も、次に海外へ行くときは自分のカメラを持って、それを理由に道端で人に話しかけて、ストリートフォトを撮りたい。そこからコミュニケーションが生まれて、文化を知ることができ、終わった時には人と話すことに慣れ、適応し、それが自信へと変わり、顔にも出る。次に海外へ行く時はカメラをもって、ストリートフォトグラファーになろうって思った。グレッグからたくさんのインスピレーションを得た。彼は髪がすごく長いから縛っているけれど、本当にかっこいいんだよなぁ。
それからはホステルに戻って、グレッグのウェブサイトの編集を手伝った。Tildaっていうノーコードツールで作っていて、SSL化もされていなかったし、アニメーションがフリップになっていてかっこ悪かった。
フォントはゴシック体ではなくセリフ体のほうが高級感が出るよ、アニメーションは下から出てくるようにするほうがいいよ、ってアドバイスしながら一緒に編集した。ノーコードツールなのでコーディングに慣れている自分としてはめちゃくちゃやりにくかった。だけど、なにを意味しているのかは一瞬でわかったのでそれは嬉しかった。
まさかトビリシでWeb制作するなんて思っていなかった。去年の今なんて、1mmもやっていなかったんだから。もし仕事がなくなって暇になった時は、彼のウェブサイトをちゃんと作ってあげようって思った。
ショパンからタンゴまで、ピアノの夜
Moosicaホステルにはピアノがある。僕はショパンのノクターン、トルコ行進曲、クイーンの曲、ABBA、クリスマスの曲を弾いた。たくさん弾いていると気分が盛り上がってきて、どんどん大きくなってしまった。そしたらグレッグはカメラで僕を撮影していた。
他のお客さんも見ていて、アルゼンチンから来た方には「なにかタンゴ系の音楽知らない?」と言われたのでキューバの音楽を弾いたり、「イタリアの曲は?」と言われたのでFelicita、それからオペラのLa traviataの有名な曲を弾いたり、TicoTicoを弾いたり。少し恥ずかしいっていうのもあったけれど、もうすっかり慣れた。ピアノを弾いている時は本当に楽しいなぁって思う。
ピアノを弾き終わり、疲れたのでホステルを出た。やっと一人の時間。自由広場周辺を歩いて、Estereと一緒に行った懐かしいアイスクリーム屋さんへ。ブルーベリー味のアイスクリームを注文。なんと2.5ラリ。150円。なんて安いんだろう。味も普通に美味しい。

もしアイスがどろどろに溶けた状態で「飲むか?」って聞かれたら、もちろん飲まない。だって砂糖の塊なんだもん。だけど、凍っていると食べるんだよね。なんて不思議なものなんだろう。
近くのスーパーでいちごを買って、ホステルに戻った。それからは年内最後の案件のコーディングを進めた。ギミックがいろいろ細かくて叫びたくなるけど、根気よく。そうさ。なんでも根気よくだ。夜はサブウェイへ行って、久しぶりに注文して食べた。作業をしながら。24時間営業のファストフード店はいろんな人がいて落ち着かない。やっぱり、おしゃれなカフェで作業するほうがいいなって改めて思った。
コーヒーを飲みながら語り合い、ウェブサイトを一緒に編集し、ピアノで繋がる。グレッグとの一日は、創造的なエネルギーに満ちていた。




