〜心のままに歩く旅〜
柵越しに手を振った朝と、6時間の電車が連れてきた新しい街

柵越しに手を振った朝と、6時間の電車が連れてきた新しい街

面白い体験, ストーリー, 出会い
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ジョグジャカルタ最後の朝、友達との別れ。フォトブースの3枚、手紙、ブレスレット、そして駅のゲートでのハグ。柵越しに手を振った瞬間から始まる6時間の電車旅。その先に待っていたのは、人間らしさが溢れる街マランだった。

柵越しに手を振った朝と、6時間の電車が連れてきた新しい街。

おはよう、最後の朝

おはよう。起きたら7時30分だった。バックパックに荷物をすべて詰めてホステルをチェックアウトする。シャワーを浴びたりしていたから、時間があまりなかった。たぶん、彼女のことだから時間にぴったりは来ないだろうって思って、少し遅れる連絡をする。案の定、僕は20分くらい遅れて到着したんだけど、彼女はまだ来ていなかった。

今日はどこにまず行こうかなって思いながらマリオボロを歩いていたら、プリクラのようなフォトブースがあった。まずはここに行こうって思った。

地図上で近づく二人

彼女はWhatsAppで今いる場所を共有してくれて、僕たちは真ん中で合うことになった。地図を見ながら歩くんだけど、彼女が迫っている、そして僕が近づいているのがわかる。少し心臓をドキドキさせながら歩いた。こういうときは、逆にサプライズさせるのが本当に楽しかったりする。だけど、そうはいかなくて、別に隠れる場所もなかったし(笑)。

彼女はいた!僕たちはおはようって言って、一緒に歩き出す。彼女はすごくすごく疲れていて、なんだか眠たそうだった。「昨日は何時に寝たの?」って聞いたら、なんと4時だったらしい。今日も結局4時間しか睡眠をとっていないらしく、疲れている顔をしていた。だけど「大丈夫だよ」って言いながら歩く。

実は僕もすごく眠たくて、フルパワーというわけではなかったので、あまり感情的になることができなかった。

それでも、彼女と一緒にいる時間を楽しんだ。歩いているときはなにを話していいのかわからなかった。これは初めての感情だった。だけど、別に無理やり話してもしょうがないしなぁって思った。

フォトブースの緊張

「一緒にフォトブースで撮影しよう!」って提案したら、「いいよ〜」ということで一緒に写真を撮ることにした。フォトブースにいるときは少し緊張した。なんせ、僕はしょっちゅう撮影しているわけでもないので、本当に緊張していた。

なぜかっていうと、どんなポーズをしようかなっていう緊張。6ポーズくらいしないといけないんだけど、定番のポーズが2種類くらいあって、それ以外にどんなポーズをしたらいいかなとかを即興で考えないといけない。まだそこまで距離が近いわけでもないから、こういう中途半端な距離感が一番難しいなぁと感じる。

だけど、とにかく楽しむことに全力投球でいたら、写真撮影はあっという間に終わっていた。写真はたったの3パターンしか撮影しなかった。

印刷されている間は近くにある鏡で一緒に写真をとったりして楽しんだ。二人だけの空間だと、やっぱりまだ緊張してしまうなぁって思った。だけど、僕にとってはちょうどよい距離感だった。

思いがけないプレゼント

僕はホステルへ行ってバックパックを回収してきた。彼女は僕の荷物の量にすごく驚いていた。「めちゃくちゃ大量だね〜」っていう感じに。

隣にはお土産屋さんがあって、彼女はそこでなにかを見ていた。ブレスレットとアクセサリーを見ていた。「どの柄がいい?」って聞いてくれて、どうやら僕にプレゼントを買ってくれるみたいだった。本当に嬉しかった。

ジョグジャの柄の面白いアクセサリーを選んで渡した。僕はアクセサリーよりもブレスレットの方が嬉しいなぁっていうことを少し控えめに伝えたんだけど、彼女はアクセサリーを買った。きっと、ブレスレットは意味が重すぎるのかもしれない。

そうしたら、僕に2つくれた。なんと、アクセサリーとブレスレット。ブレスレットは彼女のものではなくて、僕のためのものだった。最初からそうだったんだ。まさか自分にくれるなんて思っていなかったので、本当に嬉しかった。

僕は彼女になにかをプレゼントしたかったんだけど、目の前で焦って買うというのもなんか好きではなかった。だから、やめておいた。

カフェのピアノと、手紙

一緒にタクシーを呼んで、駅に近いカフェへ行くことにした。そこにはピアノがあるらしく、もしかしたら一緒に演奏できるんじゃないかっていうお話になった。僕は急に緊張してしまった。人前で演奏することに慣れていないから。

カフェに到着して、まずは朝ごはんを食べようってなった。だけど、ぱっとする朝ごはんがなかったので、結局コーヒーやティーを注文するだけにした。人でごった返していたので、外の席に座ることにした。

コーヒーを注文している間、彼女はバッグに手を突っ込んでなにかを探していた。紙を取り出して僕に渡してくれた。そこには長文が書いてあった。僕に宛てた手紙だった。「ここで読んでいいよ」ということだったので、読むことにした。

そこには、とても彼女らしい、僕を応援して励ましてくれるような内容だった。細かくは覚えていないんだけど、僕がジョグジャを去ることを悲しく思っていること、僕が恋しいこと。そして、僕はすごいことをしているから夢を諦めないで突き進んでほしいということ。とても感動的だった。

彼女は僕が読んでいるときに「泣かないでよ?」って言ってきたのを覚えている。これが冗談だったのか本気なのかわからないんだけど、この一言でちょっと冷めてしまった。

彼女は僕が感動することを期待していることがわかったので、それでちょっと冷めてしまった。僕はなかなか泣けない。そんな感情的になれないんだ。だけど、その手紙はとても嬉しかった。きっと彼女もたくさん考えて、眠たいにもかかわらず書いてくれたんだなぁって思うと、感謝の気持ちとありがとうっていう気持ちでいっぱいだった。

それから、彼女は買ってくれたブレスレットを僕の腕につけてくれた。コーヒーが到着した。僕はレモネードを注文していたのに、なぜか違うものが来ていた。まあ仕方ないし、いいやっていうことで飲んだ。美味しいかどうかと言われたら、そこまでだった。

「ピアノ弾く?」って何度も言われたので、僕は勇気を持って弾くことにした。Lana Del Reyの曲を弾くことに。僕は絶対音感を持っているので、一度聞いたことがあれば弾くことができる。だけど、歌詞やタイトルは覚えられない。あとはElvisの「Can't Help Falling in Love」を弾いた。

周りにはたくさんの人が座っていたので、緊張してあまり大きな音は出せなかった。彼女は終始横で見守っていてくれた。自分では聞こえていたんだけど、彼女にはあまり聞こえていないくらいだった。きっと「なんでそんなに小さい音で弾くの?」って思っているだろうなぁって思いながらも弾いた。

面白いのが、自分はきっと自意識過剰なんだなぁって思った。だって、見てみると誰も僕の演奏を見ていなかった。こんなもんだ。「見てほしくない」って思って弾くと、それが気持ちに現れるから見られない。だけど、「僕の素晴らしい演奏を見てほしい!」って思いながら弾くと、人を惹きつけるものだったりする。たとえ下手だとしても。

彼女のオーラと、僕の自信

もうそろそろ行かないといけないということで、写真をとにかく一緒に撮影した。ツーショットの自撮りだったり、警備員さんに入口で撮影してもらったり。彼女はなにか特別なオーラを放っているからなのか、みんなが一目置くような感じだった。しっかり、人間として扱っているような感じがした。

写真を撮っていても横切る人だったりが世の中にはたくさんいる中で、彼女と一緒に撮影している時はすごく大事に扱われている感じがしたし、僕も彼女の隣にいるとなぜか自信がみなぎっていた。これは彼女の空気や雰囲気のおかげなんだと思う。それはそれで、すごく新鮮な感情だったし、なにか自分らしいなぁって思った。

主導権を握る人が近くにいると、僕はその人に甘えてしまう部分もあることを最近知った。だから逆に自分がだめになってしまうんじゃないかって思ったりする。だけど、彼女の場合は一緒にいるとお互いに高め合えるような感じがした。

最近わかったことは、自分は人に甘えてばかりだと自分を見失ってしまうということ。一人で冒険している時の方がしっかりしていると思った。同時に、心の支えはほしいなぁって思った。だけど、それが内向的な人だったりすると、相手のエネルギーに引っ張られてしまって、僕も社交的ではなくなってしまった経験があった。

だから、どっちが自分にあっているのかわからなかった。支えてほしいけど、自分の軸を持って自立していてほしい。そんな人が僕の理想なのかもしれない。

駅のゲート、映画のようなハグ

タクシーに乗って駅へ向かった。チケットを発行して、ゲートまで進んだ。ここから先は僕しか行けないということだったので、駅員さんの前で僕たちは10秒くらいハグをした。

インドネシアではハグをする文化はあまりないと思うので、かなり変なことをしているんじゃないかって思ったけど、これも良い思い出だし、僕たちの気持ちだった。ありがとうという感謝と、寂しいという気持ち。それをハグで伝えたかった。

彼女は泣いてしまった。同時に、2日というすごく短い期間だったのに、彼女の心を動かすことができて僕は嬉しかった。それが自信になった。

そして、彼女が感情的でいられることが羨ましいなぁって思った。僕を大切にしてくれている気持ちが伝わった。本当にありがとう。感謝の気持ちでいっぱいだった。だけど、僕は全く泣けなかった。

ゲートを通り過ぎてから振り向いたときには、彼女は後ろに歩いて帰ってしまう感じだった。これは、あのJoe Blackの映画のワンシーンのようだった。

柵越しの再会

自分の席の号車を探してプラットフォームを歩いていたら、彼女が待っていた!柵越しに彼女は立っていたので、僕はそこまで歩いて行った。一緒に写真をとった。柵越しで写真をとるなんて、本当に映画みたいだった。

電車が来てしまったので、僕は行くことにした。彼女の手を掴んで、「ばいばい。また会おうね」って声をかけて、電車に乗り込んだ。出発までの時間があったので、荷物を置いてから号車と号車の間に立って、最後は手を振ろうと思った。実際に手を振ったら、彼女はハッと気づいて、急いでiPhoneで動画を撮影しながら手を振ってくれた。

彼女とは2日しか会わなかったけど、すごく良いストーリーだったし、素敵な人と出会えて僕は嬉しかった。

電車の中のMTGと、6時間の旅

と思う暇もなく、MTGがあったので電車に乗ってからすぐにiPhoneで接続してMTGをしていた。田舎の道を走っていたこともあって、なかなか電波が悪かった。

久しぶりに社長とディレクターとの会議だったから、僕が世界を旅していて忙しくて、この電波が途切れるMTGを機に切られないかちょっと心配だった。

MTGが終わってからは、ずっと音楽を聞きながら外の景色を眺めていた。マランへは6時間くらいかかる。すごく長いなぁって思った。

車内には外国人がたくさんいて、みんなバックパックを持っていた。ブロモ山へ行くんだなぁって。途中、車内販売があったのでナシゴレンを注文した。

パッケージは大きいのに、中身は少ない。なんかインドネシアらしいなぁって思った。

マラン到着、バックパッカーの仲間意識

6時間乗っていて、ついにマランに到着した。到着すると同時に、ほぼみんなが降りる。僕はバックパックを担いで降りたんだけど、驚くことにたくさんのバックパックを担いだ外国人がいて、なんだか仲間意識というか、みんなが同じ場所に向かっていることを知るだけで、なんだか嬉しくなった。

僕も彼らの一員。全く知らないけど、心の中で燃えているものは同じなのかもしれないと感じた。その瞬間はすごく心が動いた。

それから、僕はホステルにチェックインするためにバイクタクシーを呼んで向かった。まずチェックインしてからは、ランドリーを探すことに。だけど、こんな夜からランドリーを注文して、エクスプレスでも3時間後に終わるなんていうことはできないだろうなって思った。だから、新しくTシャツとかを買うしかなかった。

マランの人間らしさ

ホステルから、今回のブロモ・イジェン山ツアーを企画してくれているホステルは近かったので、歩いて行くことにした。

歩いているときにいくつかの服屋さんを見つけて、Tシャツを探していた。大量にあるんだけど、見るからにシルエットが合っていなかったり、素材があまりよくなかったり、色が変だったり、フロントに変な文字だったり柄が書かれている感じのものばかりで、お金を出して買いたいとは思えなかった。結局、茶系の無地のTシャツを買うことにした。

レジへ行くと、インドネシア人3人くらいが対応してくれた。すごく手厚い対応で嬉しかった。そのうちの一人はすごく緊張しながら「Where are you from?」って聞いてくれた。日本だよっていうと、驚いていた。彼女は無垢で純粋だった。写真を一緒に撮りたいなぁって思ったときは、すでに店を出てからだった。

僕はマランが好きになってしまった。バイクタクシーの人もすごくフレンドリーで、カタコトの英語だったけど笑顔だった。だから、一緒に写真を撮影した。

やっぱり、田舎に行くほど、そこには人間らしい物語があるなぁって感じた。

ツアー申し込みと、吉野家の牛丼

ツアーを企画してくれているホステルへ行って、お金を支払った。25,000円くらいだったかな。バリ島まで連れてってくれて、さらに2泊3日。安すぎるでしょって思った。良い投資だなと感じた。受付の人とは少し日程についてやりとりがあったけど、快く対応してくれたのでよかった。

それからバイクタクシーを呼んでショッピングモールへ。ランドリーを探していて、友達のFaqiにエクスプレスで2時間でできないか電話で聞いてもらった。もちろんだめだった。だから、完全にTシャツを買う方向で進めた。

夜ご飯は吉野家で牛丼を食べた。ここに来て、こんな田舎のマランでも日本チェーンの吉野家があるなんて感動的だった。僕以外みんなインドネシア人っていうこともすごく嬉しかったし、特別感を感じた。さすがに、マランのような街に暮らしている外国人はそう多くないだろうなって思った。

それからは、New Balanceを見つけたので、そこでTシャツをいろいろ見漁って結局2つ買うことにした。一つはジャストサイズだったけど、一つはオーバーサイズだったのでちょっと大きすぎるなって思った。

だけど、まあそれでもいいじゃないかっていうことで。店員さんは一生懸命サイズを探してくれていてありがたかった。僕がありがとうって商品を受け取るときは、僕の目を見てくれなかった。シャイなのかな?

明日への不安

ホテルに戻ってシャワーを浴びて明日に備えた。夜は寝たかったんだけど、なかなか寝ることができなかった。明日どうなるんだろう。友達はできるかな。大丈夫かな。一人にならないかな。そういう不安がたくさんあった。これは、中学校のクラス替えからずっと続く不安だった。そして、一人になったことは今まで一度もない。不安の90%は起こらないとは、ここにあるんだ。

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● Profile

Kota Ishihara(いしはら こうた)

近畿大学理工学部生命科学科卒業。卒業後は、Webサイト制作を独学で勉強し、2022年10月にフリーランスに。その後、海外に拠点を移すために海外視察を開始し、ヨーロッパ、東南アジアなどを一人で冒険をし、さまざまな人と交流する。将来の夢は、ヨーロッパに移住し、クリエイティブ・多国籍企業を作り、多種多様なクリエイティブプロジェクトをしていくと共に、パイロットになり世界を旅すること。音楽・ファッションなしでは生きられない。イヤホンにはとても辛口評価。尊敬する人は岡本太郎。

#同じ旅の余韻