電話番号を書かされ、宿泊先の住所を見せろと言われた。
足がゆるゆるになって、少し震えた。人生で初めての、本格的な尋問だった。
でも、その日の始まりは、静かな見送りだった。
見送りのDavid、4年ぶりの見送り
本当はロシアビザをトビリシで取得してから向かう予定だったけど、外国人がロシアビザを取るのは想像以上に難しいらしい。領事館もなく、プロセスも複雑。断念した瞬間、アルメニアへ行こうと決めた。ミニバンで50ラリ、なかなか安い。
今日はジョージア最後の日。朝起きて荷物をパッキング。冬のセーターが大量にあって、そろそろ日本に送りたいなと思いながら、タクシーで車の出るバスターミナルへ向かう。前日にDavidが予約をしておいてくれたので、チェックインはスムーズだった。

大きなバックパックをバンに載せてから、Davidを迎えにバスターミナルへ。彼はわざわざ見送りに来てくれた。2022年の12月、ラトビアへ行くときも空港まで見送ってくれたDavid。あのときは空港で、今日はバスターミナルで。この「見送り」は4年ぶりだ。お互いに少しだけ歳をとって、変化して。今後も美しく、魅力的な人になっていきたいと思う。

4年前は空港で、今日はバスターミナルで。
Davidは僕に手紙をくれた。急いでいたので、カードは彼の目の前で書くことになった。それでも、日本語で手紙を書いて渡した。
最近、自分は自分への不信だけじゃなくて、人への不信もあるのかもしれない。手紙を書くのも損をしたくないから、急いで書ける状態に持っていったのかもしれない。相手にとってはあまり良いものじゃないなと、自分で改めて感じた。
陸路で越える、ジョージア国境
ドライバーに急かされて、近くのレストランでトイレを借りてから出発。
ミニバンに乗ってジョージア国境へ。陸路で国境を越えるのはたぶん2回目で、めちゃくちゃワクワクした。道の途中には放牧の羊飼いがいて、広大な高原が広がっていた。世界は広いなと改めて感じる。

雪山と、静かな村。
隣にはカザフスタン人の2人、前にはロシア人の女の子2人とおばちゃん1人。合計6人でのアルメニア旅行になった。ジョージア国境では「どんなビザを持ってる?」と聞かれ、「ビザは不要だよ」と答えて、無事に出国完了。
アルメニア国境、人生初の尋問
今度はアルメニアの国境へ。出国のときは荷物をバンに乗せたままでよかったけど、入国のときはすべて下ろして検査される。
前の人が携帯番号や目的、行き先をすごく強く聞かれていて、これは失敗したかもと思った。後ろのロシア人の子に「Here is a wrong que, we should have wait there haha」と言おうとしたけど、パスポートコントロールの近くだったのでやめておいた。
そして僕の番。人生で初めて、めちゃくちゃ尋問されるくらいにいろんな質問を聞かれた。電話番号を書かされ、どこに行くのか、何日滞在するのか、宿泊先の住所を見せろと言われた。足がゆるゆるになって、少し震えた。もし入国できなかったらどうしよう、と。
でも、よくよく考えれば彼らは目的を持ってやっているだけで、プライベートでは優しいんだろうと思えば、そこまで怖いものでもない。原因ははっきりしていた。ジョージアのスタンプの後ろに、アゼルバイジャンのスタンプがバレバレだったから。この時点で、アゼルバイジャンにはもう行けなくなった。
だけど、良い経験だった。将来イスラエルに行く予定があるなら、これは良い練習だと思う。おそらく10倍以上は厳しいだろうから。
高原から雪山へ、車内で見た景色
無事にスタンプを押されてバンに乗り込み、首都エレバンを目指す。寝不足だったので、たくさん寝てしまった。
外には広大な雪山が広がっていて、標高の高さを感じる。さっきまでは緑の高原だったのに、今は雪山に囲まれている。人生も同じで、いる場所によってこんなに環境が違うんだなと思う。
サービスエリアに到着して、ロシア語でチキンとトマトの料理とピュレを注文。すごく美味しかった。本当は隣のロシア人の女の子2人のところにジョインできたらいいなと思っていたけど、頭の中の声がそうはさせてくれなかった。「今は眠たくて話す気分じゃない」と理由をつけて逃げてしまった。だいぶ人に自分から話せるようになったのは大きな突破だけど、自分の気分によって上下しやすく、極端だなと思った。
ロシア語で交渉した、宿のキャンセル
アルメニアのバス停に到着。SIMカードを持っていなかったので、隣にいたカザフスタン人に「インターネット貸してくれない?」と聞いたら、「もちろんだよBro」とすごく優しく貸してくれた。彼らはすでにタクシーを呼んでいたのに、僕がすべてOKになるまで待ってくれていた。本当にありがたかった。Yandexタクシーだったので、カードって登録してるっけと少し心配になった(アルメニアのお金をまだ持っていないので)。だけど、しっかりカード登録されていたので安心。それから無事にホテルへ向かうことができた。カザフスタン人は本当に優しくて、思いやりがあるなと改めて肌で感じた。いつかお礼をしたいと思った。
タクシーの運転手はすごく粗かったし、なにかストレスが溜まっているようだった。人間関係か、自分の人生が思い通りにうまくいっていないのだろうか。
ホテル近くまで到着したけど、Googleマップでピンしてある場所に宿泊所がなかった。近くのレストランで休憩していたおばちゃんに、ロシア語でここにホステルがあるはずなんだけど知らない?と聞いたけど、結局わからなかった。近くにあるカフェに入った。中心地のようで、すごくファンシーな雰囲気。とてもロマンチックで、少し薄暗かった。バックパックを担いだまま、Table for 1ということで座った。そこでとりあえずスムージーを注文した。800円だったので、まあ高かったけど、OKな値段だ。
Wifiを借りてBooking.comを見直すと、やはり同じ場所で少しトリッキーな立地だった。ジョージアのホステルで出会ったMehdiから「めちゃくちゃいいホステルがあるから来なよ」と誘われていて、キャンセルできるなら乗り換えることにした。
ホテルに着くと、おばちゃんがソファでiPhoneを見ていた。管理人らしい。ロシア語でキャンセルしたいと伝えた。「Accept」と「Cancel」という単語がわからなかったのでGoogle翻訳で調べて、自分で交渉した。オーナーに電話をしてくれて、結局フリーキャンセルできた。
おばちゃんは最初あまりフレンドリーじゃなかったけど、途中からロシア語をどこで覚えたのか、どこ出身なのか、いろいろ話してくれて、いい感じになった。ロシア語を話せることを誇りに思ったし、言語でここまでつながれることが嬉しかった。前よりロシア語で話すことが怖くなくなっている自分に気づいた。これも「慣れ」なんだと思う。結局、人生は慣れなんだな。
姿勢のいい国、エレバン
ATMでアルメニアのお金を引き出して、歩いてホステルへ向かう。入口ですごくフレンドリーな人に声をかけられた。
彼はホステルの管理人で、握手をして中を案内してくれた。イラン人だったりインターナショナルな人たちがいたけど、数人はパソコンで働くノマド的な人で、あまりフレンドリーな感じではなかった。そこだけ少し残念だった。チェックインしてすぐ、モロッコ人のMehdiと再会した。
街を歩くと、アルメニア人のファッションの誇り高さに驚いた。みんなジャケットを着ていて、女性もきれいで、デートしている人たちはドレスやジャケットで決めている。国全体で背筋を伸ばしているような、そんな雰囲気だった。
特に女性の姿勢の良さに驚いた。世界を見てきた中でも、アルメニアは群を抜いていた。自然と、僕も背筋を伸ばして歩いていた。
ESIMをゲットしようと窓口に行くと、人が多すぎて呆れてしまった。結局20分ほど待ってようやく呼ばれて、契約を完了できた。担当してくれた男の子は入りたてなのか、純粋な感じがしていて、すごく慣れていなさそうなところが可愛かった。
Mehdiと、カスケードへ
歩いてカスケードへ向かった。エレバンの代表的な観光地で、たくさんの階段がある。Mehdiと一緒に歩く。
彼は本当にフランス人らしい人で、話すのが大好きで、自分の思ったことをしっかり言う。アメリカ的な感じとは違う、フランス的な情緒的な直接感。そんなところが、僕にとってすごく魅力的だった。一緒にいても全然気を使わない、おしゃべりが大好きなモロッコ人。


最上階まで、あと少し。
カスケードを登って一番上へ。彼の今後のプランを聞いた。今年はリオデジャネイロに半年から1年、交換留学に行くらしく、そのためにポルトガル語を勉強しているという。「きっとリオで会えるよ」と話した。
カスケードの夕日
一番上で話していると、隣で白いもふもふのコートを着た女の子が自撮り棒を立てて撮影していた。ガチの撮影で、化粧もばっちり。SNSに投稿するんだろうなと思うと、あまり自分の好みではないけど、それはそれでアルメニア人らしい、身なりへのこだわりの強さだと思った。

Quentinと、アルメニア料理
時間になったのでカスケードを降り、Quentinと合流してアルメニア料理レストランへ。

小さな揚げ物を注文。Quentinの料理も少しもらったら、めちゃくちゃ美味しかった。
デザートにロシアのナポレオンケーキのようなものがあったけど、1つで3人分の巨大サイズ。Quentinがお腹いっぱいだったので、今回はあきらめた。

かぼちゃが溶けたような食べ物も注文していて、アルメニアらしい料理を頬張った。すごく美味しかったなぁ。それからは、歩いてホステルに戻った。






