今日は本当に忘れられない日になった。
深夜2時のバイオハザード
夜中の2時、トイレに行こうとホールに出ると、同室の人がトイレにいた。用を済ませて部屋に戻り、半開きだったドアを閉めた。セキュリティの観点から、開けっ放しはよくないと思ったから。
ところが、5分後にドアをガチャンガチャンする音が聞こえてきた。どうやらカードキーを持たずにトイレへ行っていたらしく、鍵がかかってしまって部屋に入れなくなったようだった。このホステルはカードキーを差し込んで初めて電気が供給される仕組みだから、みんな面倒でドアを半開きにしていたのだろう。
その人は以前から、急に廊下を歩き回ったり音を立てたりしていて、正直怖かった。だから僕はドアを開けなかった。すると15分おきにドアを勢いよく叩いたり引っ張ったりする音が響いてきて、心臓がバクバクだった。それが5時間続いた。夜中の2時から朝の7時まで。僕はもちろん寝ることができなかった。朝になって、別の誰かが外に出たタイミングでようやくその人は部屋に入れたようだった。
まるでバイオハザードのような夜だった。本当に忘れられない。
アートカフェとレコードの午後

朝9時にようやく寝て、13時30分に起床。今日はバンコクで知り合った友達と会う約束があるので、歩いて駅へ向かう。

彼女と合流してから、まずはカフェへ。僕はアールグレイ、彼女は抹茶ラテを注文した。彼女は中国語や日本語を独学で学んでいて、大学ではビジネスとマーケティングを専攻しているらしい。音楽が大好きで、OasisやQueen、インディー系の音楽をよく聴くとのこと。


それから、レコードとカフェが一体になったお店へ行った。エド・シーランやクイーンなど、本当にありとあらゆるレコードが並んでいて、音楽の趣味が似ていたからお互いに盛り上がった。
「アートは自由」がようやくわかりかけた瞬間

次に向かったのは、こじんまりとしたカフェ。入ってみると、なんとカフェ一体型のアートスタジオだった。緑がたくさんあって、まるで森の中にいるような空間。たくさんの人がキャンバスを前にして絵を描いていた。筆やインクが自由に使えて、キャンバスを買えば誰でも描ける。

彼女がキャンバスを買いたいと言い出したので、一緒に買った。彼女が描き始めるのを見ていたら、やっぱり自分も表現したくなってしまって、僕も一番小さいキャンバス(300バーツ、約1,200円)を買った。黄色、赤、青、白の純色を出して、描き始める。


今まで、「自分の中にあるものをアートにすることの自由さ」というものが全くわからなかった。岡本太郎がよく言っていたような「アートは自由」という言葉。それがようやく、わかりかけている感じだった。
頭の中にあるものって、混沌としていて、エネルギッシュで、苦しみも楽しみも期待も入り混じっている。それを言葉にするとインパクトがありすぎて、なかなか受け入れられにくいこともある。だけど、アートにすると自由に表現できる。見る人の捉え方次第だから。そこが「自由」なんだと思った。
毎日こうやって日記として文字にしているけど、絵にしてみるのもなんか面白い。これは本当に新しい発見だった。
赤色が僕だ


僕が描いたのは、赤色を中心にした絵だった。赤は人間の根底にあるエネルギーや情熱。それも鋭いもの。血のように生々しいけれど、その中心には希望の光がある。それをこの世界に突きつけて、なんとか突破しようと試行錯誤している最中。その中には、たくさんの苦しみや絶望もある。

凝り固まった固定観念や既成概念を壊していきたい。だけどそれは簡単じゃなくて、お先真っ暗に見えることもある。それを青色で表現した。なにかを打ち破るには、孤独や悲しみがつきまとう。それが黒色の部分。
自分でも気づかなかったものが、こうやってキャンバスの上に露呈する。間違いなく、岡本太郎やカンディンスキー、シャガールの影響を受けているんだろうなと思う。芸術って面白い。

冒険ノートにタイ語のメッセージ

気づくともう19時を過ぎていた。14時に会ってから5時間も一緒に行動していた。タイ料理を食べて、絵を描いて、本当に充実した時間だった。
帰り際、冒険ノートにタイ語でメッセージを書いてもらった。タイ語はいままで見たことのない面白い文字だからこそ、不思議が多くて、見ていて本当に刺激と感動があった。彼女は達筆で、恥ずかしがりながら丁寧に書いてくれた。僕も日本語でメッセージを書いて渡した。
彼女のおかげで、キャンバスに絵の具で描くという久しぶりの体験ができたし、おしゃれなカフェやレコード一体型のお店は、1人では知ることができなかった。本当に心から楽しむことができて、いい思い出になった。感謝しかない。
旅先での出会いは、いつも予想外のところに連れて行ってくれる。今日がまさにそうだった。ホステルに戻って、豚肉とご飯の盛り合わせを食べながら、今日描いた絵のことをまだ考えていた。



