〜心のままに歩く旅〜
キルギスの言葉が通じない美容室で、髪を切ってもらった

キルギスの言葉が通じない美容室で、髪を切ってもらった

面白い体験, ストーリー, 出会い
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ハッシュタグで見つけたロシア語だけの美容師にパーマとカットを頼み、オンライン友達Polinaと初めて会った日の話

起きたのは11時。今日は、人生で初めてキルギスでパーマとカットをしてもらう日だった。

昨日の夜、インスタグラムのハッシュタグから美容師さんを見つけた。作品がめちゃくちゃ綺麗で、この人にやってもらいたいと思った。すべてロシア語。ChatGPTで日本語を打ってロシア語にしてもらい、それを送る。彼から返ってくるのもロシア語。そんなやりとりを繰り返して、なんとか予約までこぎつけた。

ハッシュタグで見つけた美容師さん

美容師さんはまず、写真を送ってほしいと言ってきた。パーマができるか判断したいから、とのこと。

研究者のような目線で、美容師としての誇りを持ってやっていることが、やりとりだけで伝わってきた。だからこそ、彼に頼みたいと思った。

お値段は6500ソム(1万円くらい)。日本よりも安くて、正直それで十分すぎるくらいだった。すごく良心的。

タクシーで指定された住所へ向かう。到着して数分すると彼が出てきて、美容室に案内してくれた。握手をして、よろしくお願いします、と言う。名前はすごく複雑で、一度では覚えられなかった。

ロシア語だけの美容室で

美容室に入ると、僕と美容師さんだけ。コミュニケーションが好きな感じで、インスタグラムを見たときからビジネスとしてしっかりやっている印象があった。モデルであり、美容師でもあるらしい。

洗ってもらって、席につく。温かいお湯が頭皮を伝う感覚に、旅の疲れがふっとゆるむ。iPhoneで撮影していい?と聞かれたので、もちろんいいよ、と答えた。インスタで見るような感じに投稿されるんだなと思うと少し緊張したけれど、ありのままの自分でいようと思い直した。

施術が始まる。彼はロシア語だけを話す。最近だんだん話せるようにはなってきたけれど、専門用語ばかりでわからないこともたくさんあった。それでも、それすら含めて楽しんだ。ロシア語だけで美容院に通うなんて経験、なかなかできない。それだけで貴重で、嬉しかった。

施術中はいろんな話をした。彼のビジネスのこと、家族のこと。彼はウズベキスタン人だけどキルギス生まれで、今20歳。16歳のときから美容師として働きはじめたらしい。それだけで、信じられないほどすごいと思った。僕が20歳のころは、セブンイレブンでバイトをしていたくらいだったから。

馬の乗り方も知ってる?と聞くと、幼少期に馬に乗っている画像を見せてくれた。好きな国はどこ、おすすめの国はどこ、とお互いに質問し合う。僕たちはもう友達だ、将来日本に行ったらまた会えるといいな、と彼が言うので、もちろん、日本に来たら案内するよ、と返した。

パーマ液を髪にセットするだけで1時間30分。すべてを丁寧にやってくれて、それだけで7000ソム払ってもいいと思ってしまうくらい、彼の心と熱意に打たれた。

パーマ液特有のツンとした匂いが鼻をかすめる。ネットをかぶった頭がじんわり温かくなっていくのを感じながら、液を塗って40分待った。

固定液をつけてまた10分。それから洗浄。冷たい水が頭皮を流れていくのが気持ちよかった。最後はまたビデオをセットして、タオルを取った瞬間のリアクションを撮影された。

期待されると顔が引きつってしまう。うまくリアクションしなきゃという見えない圧力があると、逆にうまくできない。でも、それだけ彼に応えたいと思っているんだな、と自分の癖に気づいた。

完璧な仕上がりと、新しい友達

パーマは理想の髪型そのままにかかっていて、めちゃくちゃ嬉しかった。彼の施術は、何ひとつだめなところがないくらい完璧だった。

最後は撮影のためか、ワックスやムースをつけてしっかりセッティングしてくれた。指先がワックスの粘りを馴染ませるたび、髪がすこしずつ理想の形に近づいていく。横も、僕が何も言わなくても彼が自分で判断して切ってくれた。それだけで、プロフェッショナルなものが伝わってきた。

施術が終わってからは10分くらい撮影大会。iPhoneで後ろから、横から、僕の髪型をずっと撮っていた。最後は一緒に写真を撮って、日本語で「僕の髪の毛を切ってくれてありがとう!すごく美しく切ってくれてありがとう!」と伝えた。

6500ソムを支払い、僕のトラベルブックに彼にもメッセージを書いてもらった。最後はハグと握手。いい日を、ありがとうね、また日本に来たら案内するね、と伝えてバイバイした。

それから歩いてKFCへ向かった。値段は高かったけれど、Lセットを注文。サクサクの衣とスパイスの香りが、朝から何も食べていない体にじんわり染みた。今日はじめてのご飯だった。

公園でPolinaとついに

その後は、Polinaとついに会う日だった。1.5年前にオンラインで出会った、初めてのキルギスの友達。今回キルギスに来られたので、昨日のうちに公園で会う約束をしていた。

公園に着くと、彼女は噴水の近くで待ってくれていた。笑顔でHi!と言ってハグをする。

3時間、公園や広場を歩きながら、話せることをすべて話した。彼女のカレッジのこと、友達がぜんぜんいないこと、家で過ごすのが好きなこと、将来の夢、飼っているペットのこと。

彼女はすごく若くて、質問してくることはほぼなかった。だから僕が常にリードして、たくさん質問した。最初は緊張していた様子だったけれど、だんだん打ち解けて、ゆっくりいろんな話ができるようになった。本当に楽しかった。

そろそろ行こうか、と言うと、彼女は、まだいいよ、時間はまだあるから大丈夫、と言う。僕と過ごす時間を、それだけ楽しんでくれているようだった。INFPでシャイで内向的な彼女が楽しんでくれていて、嬉しかった。

彼女はアイスクリームをオーブンで溶かして食べる、温かいアイスクリームが好きらしい。さすがにそれはおかしいだろと思ってしまった(笑)。キルギス語は話せなくて、ロシア語と英語だけ。Geographyが得意で数学が嫌い、というのは僕と一緒だった。英語は独学で、あれだけ流暢に話せるなら日本語だって絶対話せるようになるよ、と伝えた。彼女は将来日本に住みたいらしいので、可能性は無限大だから絶対叶えられるよ、と話した。

公園や広場で写真を撮り合いながら、少ない時間を僕たちは楽しんだ。それからバス停まで一緒に歩き、最後はハグをしてありがとう、とバイバイした。

キルギス人の友達ができて、僕もすごく嬉しかった。オンラインの友達が、やっとオフラインになった瞬間でもあった。

深夜のスタローヴァヤと、Ayaのまなざし

ホステルに戻る途中、寿司を食べたくなったけれど、結局24時間営業のスタローヴァヤ(食堂)で気になるものをピックアップして食べた。湯気の立つトレイから漂う匂いに引き寄せられて、温かい一皿を選ぶ。それだけでは十分じゃなかったけれど、お腹はいっぱいになったのでまあいいやという感じ。

無事にホステルに到着すると、初日にチェックインを担当してくれたAyaがいた。ここに行くといいよ、ここはすごいよ、といろんなプランを教えてもらった。

彼女はコミュニケーションに慣れていて、すごくゆったりしている。それでいて、しっかり導いてくれる。さすが元ツアーガイド。彼女の距離感、コミュニケーションスタイルは尊敬するべきものだった。いつも誰かと話していて、ロシア語でも英語でも、いろんなゲストとやりとりしている。

スマホを見ない街で気づいたこと

キルギスの街を歩いていて感じたのは、みんなスマホを触りながら歩いていない、ということ。みんな生き生きしていて、自然体で、人間らしい。

今の世の中はテクノロジーのおかげで、スマホなしでは生きていられない人が多い。だけどキルギスの街を歩いていると、スマホを見ている人が本当にいない。みんな生き生きと笑顔で歩いていたり、友達と楽しそうに話しながら歩いていたり。不便さの中にある人との出会い、人とのつながりが、一層深い国だなと思った。

今という時間を大切にして、メッセージのやりとりよりも、今ここにいる人とのコミュニケーションを大切にする。そんなものを、街を歩いていても、ホステルのAyaと話していても感じた。

彼女も、気づいたら受付にいなくて、誰かと話している。ゲストでも係員でも誰でもいいから、とにかく話をしていて、いつも受付にいる警備員が呼び出す羽目になる(笑)。それくらい、彼女自身気づいていないのかもしれないけれど、「今」を大事に、目の前にいる人を大切にしているんだなとすごく感じた。

これこそが人間らしい生き方だと思う。彼女はきっと幸福度が高いだろうし、話していて心の複雑な部分があまりなくて、心が汚れていない、きれいな人だなと感じるものがあった。よくハイキングに行って、自分の心を整えているからなのかな、とも思ったり。

いろんな発見が多い日だった。

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● Profile

Kota Ishihara(いしはら こうた)

近畿大学理工学部生命科学科卒業。卒業後、Web制作を独学で学び、2022年よりフリーランスとして活動開始。現在は世界一周をしながら、Webエンジニアとして働きつつ、「旅するように生きる。感動するように働く。心でつながる。」をテーマに、ブログ・YouTube・SNSで発信を続けている。観光地を巡るのではなく、“その国の空気を吸い、その土地で暮らすように滞在すること”を大切にしている。将来の夢は、ヨーロッパに拠点を置き、クリエイティブで多国籍なチームをつくり、国境を越えたプロジェクトを生み出すこと。そして、自ら操縦桿を握るパイロットになること。音楽とファッションは人生のインフラ。イヤホンには非常に辛口。尊敬する人は岡本太郎。

#同じ旅の余韻