「Where is the restroom?」 真顔で聞いてみた。
いつもの笑顔をやめて、平気な顔で話しかけてみた結果。 なんとなく、好かれなかった。
卵は早い者勝ちの朝食
朝7時30分に起きる。8時からの朝ごはんには、ぎりぎり間に合う時間。 遅いようで、ツアー中にしてはずいぶん健康的だなと、自分でも思う。
朝ごはんは今日もビュッフェ形式。 卵は相変わらず人数分しかない。日本人ならみんな1個ずつと考えるところを、海外組はどうやら早い者勝ちマインドらしい。1人で3個取っている人もいて、それでも結局余っていた。ここらへんに、まだ抜けきらない自分の日本人マインドを感じる。タンパク質が欲しかったので、僕も卵を3つ食べた。
食べている間、みんな静かだった。寝起きの静けさは、世界共通らしい。
ノートに増えていく言葉
朝ごはんを食べながら、僕のノートにメッセージを書いてもらった。Maciek、Tim、Massimoにそれぞれ一言ずつ。
それから、ベンチに座っていたキルギス人のTimとElzhanにも、キルギス語で書いてもらった。すごく綺麗なハンドライティング。Elzhanは友達なのかもわからないけど、聞いたら30歳らしくて、さすがに驚いた。それくらい若く見える人だった。
書いてもらったあとは、ありがとうって伝えた。それだけで十分だった。
ビシュケクへの長い道のり
そんなこんなでバスに乗って、ビシュケクを目指して走り出す。

バスの中で、こんなことを考えていた。
日本語でのコミュニケーションは、相手の自尊心を守ることに重きを置く。おかげで衝突は少ないけど、その分、自分の主張をスムーズに言葉にできないこともある。コミュニティが狭いと、少し違うことを言うだけで相手が身構えてしまうこともあるから、つい黙ってしまう。でも黙るのは自分を抑えることでもあって、それがどうにも苦しい。本当は、もっと自分の感情を素直に出していいはずなのに。
自分を抑えている自分が、あまり好きじゃない。みんな我慢してるんだから、というのもわかる。でも一度きりの人生、簡単には妥協したくない。何があっても自分らしくいることを、一番大事にしたい。
ビシュケクまでは、日本で言うと青森から東京、名古屋から福岡くらいの距離らしい。そんな距離を移動できていること自体、すごく贅沢なことだと思う。旅をしていると、毎日新しい人に出会って、いろんな感情を学ばされる。そのたびに、自分の新しい面や、嫌いな面、直したい面に気づかされる。
昨日、湖畔で出会った女の子が来た。ヒッチハイクでここまで来たけれど、ビシュケクに戻る車がなかなか見つからないらしい。席が1つ余っていたので、一緒に乗っていくことになった。
山あいのトラウト定食
昼ごはんは、昨日と同じレストランに到着。

トラウトを1匹注文して、3人でシェアすることに。キルギスは自然が豊かだからか、トラウトは脂がめちゃくちゃ乗っていて、びっくりするくらい美味しかった。

一緒に食べたのはTimとMaciek。みんな皮まで好きで、きれいに食べきった。隣のグループは皮を全然食べていなくて、ちょっとおかしかった。

食事しながら、ドイツ人の子のビールの話や、Adiletがシリコンバレーで働くことの大変さの話をした。お金はたくさんもらえるけど、人生がない、と彼は言う。スリランカ人のChanelaには、普段何を食べているのか聞いてみたりもした。
Adiletの話の振り方は、本当にプロフェッショナルだった。コミュニケーションのキャッチボールが的確で、話を振るタイミングも、相手の目を見て話す姿も、洗練されている。ロサンゼルスで働いているだけあるなぁと思う。環境は人を変える。良い方向にも、悪い方向にも。だからこそ、自分をどこに置くかは本当に大切なことだと、改めて思った。
笑顔をやめてみた午後
再びバスに乗って、ビシュケクへ。
最近、オランダに住んでいるポーランド人のMaciekの話し方や雰囲気に影響を受けている。僕は日本人だからか、つい人に合わせすぎてしまう。People pleaserになりがちだ。でも彼は、1人でいても構わないし、グループに入ればちゃんと話す。自信に溢れていて、かっこいいなと思う。
だから、いつも通りの笑顔をやめて、真顔で接してみることにした。ツアーガイドの子に「Where is the restroom?」って、真顔で聞いてみたり。気にしてない風に、平気な顔で話してみたり。
結果、なんとなく、好かれなかった。
結局、自分らしくいることが一番なんだと思う。話したいように話して、心で思った通りに口に出す。それが、一番好かれる近道だったりする。笑顔が好きなら笑顔でいいし、真顔なら真顔でいい。自分がどんな性格で、どれが本当の自分なのか、まだよくわかっていない。
だからこそ、いろんな経験をして、自分のアイデンティティを確立していきたい。一つわかっているのは、僕はみんなを笑顔にする、太陽みたいな存在だということ。可愛いからこそ、馬鹿にされたり、軽く扱われたりする経験もたくさんしてきた。でも結局は人による。一番良くないのは、自分を作り上げること。作り上げたものは、根っこが違うとすぐに壊れてしまう。まず自分の根っこがどんなものか知って、認めて、そのままの自分でいる。それが一番幸せな生き方な気がする。もちろん嫌われることもある。でも、みんなに好かれるなんて不可能だし、好かれようとすること自体がそもそも違う気がする。
黄色い花畑とひまわりの種
2時間ほど走って、山々に囲まれた場所で一度車を止めて、みんな外に出てリラックスした。近くには川があって、黄色い花が風にゆらゆら揺れている。

こんな小さな命が、こんな場所にもたくさんある。自分はなんて大きな世界に生きているんだろう、と思う。花にも気持ちがあるなら、何十時間でも話せるだろうな、なんて考えたりした。
近くでMaciekがひまわりの種をくれたので、齧りながら一緒に話した。ドイツ人の子が、僕と同じOsmo Action 5 Proを持っていて、「一緒じゃん!」って盛り上がった。彼女の体には、色鮮やかなタトゥーがびっしり入っていて、思わず二度見してしまった。
アルプスのような草原を抜けて
再びバスに乗って、ビシュケクを目指す。ビシュケクまでは、本当に山と川と高原しかない。スイスのアルプスみたいに、綺麗だった。山々が連なる間を、車で走り抜けていく。
時々、馬や牛が放牧されていて、草を食べながらのどかに暮らしている。馬の足やお尻は、モデルみたいに美しい。口周りは柔らかくてかわいい。馬が大好きだ。

今日は気温が高くて、少し汗をかく。バスの上の窓を、時々メンバーが開けてくれて、風が気持ちいい。
パーキングエリアでは、Elzhanとロシア語でいろいろ話した。「日本ってペットボトルさえ落ちてないんでしょ? 綺麗だよね」と聞かれた。実際そうだけど、最近は外国人旅行者が増えたぶん、少し散らかっていることもあるんだと答えた。それぞれの国のイメージについても話し合ったりした。これをロシア語でできることが、自分でも誇らしい。学校に通ったわけでもなく、ただ1人の女の子に恋をしたことがきっかけで、ここまで話せるようになったんだから。
Chanelaとノートの会話
帰り道は、スリランカから来たChanelaとノートでメッセージ交換をした。彼女はシャイだけど、最終的には仲良くなれた。とても良い人だった。思いやりがあって、ちゃんと話を聞いてくれる。内向的な人には、良い人が多いなと思う。
AdiletやBeknurにも、ノートに書いてもらった。何度かトイレ休憩を挟んで、無事に到着。
みんなと握手して、ありがとうって別れた。歩いてホステルに帰る道すがら、ままと久しぶりに電話で話した。仕事で給料が低い人がいて、ままがわざわざ社長さんに相談した、という話をしていた。
ビシュケクの夜、増えていく言葉
ホステルに着くと、日本人の2人組がいた。ウズベキスタンで働きながら、キルギスへ旅行に来たらしい。受付のAyaは、もうすっかり家族みたいに迎えてくれる。「明日はAla-Archaに行くよ」とのこと。明日明後日でLizaが最後の日だから、山に登って、夜は飲むんだとか。だから明日は、山に行かなきゃいけないらしい。
話していると、日本人のひろきさんが声をかけてきた。パキスタン国境が閉まるタイミングがあったらしく、延泊したという。結局、デリバリーを一緒に頼んで夜ご飯を食べることに。彼はラグマン、僕はライスとチキン。

キッチンで一緒に食べながら、ひろきさんが僕のノートに、日本人として初めてメッセージを書いてくれた。
夜は、トルクメニスタンのビザ申請のメールを返信して、日記を書いた。ホステルのルームメイトは、7年も旅しているというポーランド人のお医者さん。ロシア語がとにかく速くて、全然聞き取れなかった。







