朝9時、目を覚ます。しっかり7時間寝たのに、喉が痛い。風邪の気配。首と肩も重く、体は少し疲れを訴えていた。夢の中では、僕ひとり取り残されながらも森の中の冒険で、何かを叫んでいた。変な夢。でも、どこか印象に残っている。
シャワーを浴びて気分を整える。今日は久しぶりにCiciと会う日。だけどやる気は出ない。とりあえずデリバリーでチキンラップを頼み、遅れていた日記を書く。そして15時からMTG。
終わる頃には外は本降りの雨。レインコートを着て、カフェへと歩き出す。わかりにくい場所にあって迷ったけど、人に尋ねてたどり着いた。そのやりとりが、とても嬉しかった。人に頼る、声をかける。それが自然にできるようになってきた今の自分に、少しだけ誇らしさを感じた。
カフェに着くと、なぜか心臓がバクバクする。初対面よりも、再会の方が緊張するなんて。不思議だけど、本音を言えば嫌われたくない気持ちがあるのかもしれない。体調が悪いのを理由に、うまく話せなくてもいいように振る舞う。それって逃げなのかも。でも、風邪で本当にきついのも事実。喉が痛くて、熱もある気がして、イブクイックを飲む。
でも、体調が悪いときこそ、人間って本音に近づけるのかもしれない。もうどう思われてもいい、って。死にかけた熱中症のときも、ただただ人の存在がありがたかった。感情がすべてを超えるときがある。扁桃体が語る真実に、耳をすませていた。
そんな中、Ciciが現れた。笑顔がこぼれる。1年ぶりの再会って、やっぱり特別だ。KENZOの派手な柄の服と黒のジーンズ、彼女は相変わらずファッショナブルだった。
話し始めて20分、ようやく緊張がほぐれてくる。南極の話、精神的な不調の話。彼女はヤモリを病院に連れて行ったエピソードを話してくれた。感染症を乗り越えたヤモリの話は、Ciciらしくて面白い。そして、彼女の思考の深さや視点のユニークさにいつも驚かされる。

僕は世界一周の理由を話す。すると彼女は「どこかに永住はできない」と言う。だけど、彼女の暮らすHCMCの毎日はユニークで、それは彼女自身が見つけ出しているからなんだろうなと思った。

CiciはSF小説を書いているらしい。600ページもあるらしいけど、話の内容はさっぱりわからなかった(笑)。でも、宇宙に行くかどうかの問いかけに、僕は心が震えた。そんな話を真剣にできる相手って、本当に貴重だ。

その後、街を一緒に歩く。イベント、音、にぎやかさ。去年と同じ橋、同じ景色。でも、少しだけ違う僕たち。Ciciはリップクリームをカメラにつけて撮影していた。フィルムのような幻想的な写真。なるほどなぁって感動する。
橋の上で、ドロップスを渡す。日本から持ってきた、彼女の好きなお菓子。
渡した瞬間、彼女は驚き、そして感情をあらわにした。いつもの論理的な彼女が、素直に喜んでくれたことが、心に残る。人間はやっぱり感情の生き物だ。
その後はビーガンレストランで食事。マルゲリータピザとアプリコットのジュースをシェア。

少し熱っぽくて会話が止まる瞬間もあったけど、それもまた良かった。沈黙の中にも、信頼があった。

彼女が今でも僕の手紙と写真を財布に入れてくれていたことも知る。それが嬉しかった。今回もメッセージを書き合った。僕は日本語で書いたけど、恥ずかしくて訳しながら渡した。

帰りは新しくできたメトロで移動。日本の電車が使われていて、チケットは35円。そんな細かいことが、妙に嬉しい。ベンタイン市場駅で別れるとき、彼女は「世界一周、楽しんでね!」と言ってくれた。僕は「またね!」と笑って手を振った。

Ciciとの時間は、言葉で表すのが難しい。彼女は静けさの中に深さを持ち、一緒にいると、自分の内側にあるものと対話している気分になる。こんな人は、世界中探しても、きっとそう多くはいないと思う。



