朝7時10分、まぶたの重さと引き換えに、僕は起き上がる。今日は、ついにDavidと会う日。かつて画面越しに見ていた彼と、現実の風景の中で再会できる。早起きの理由は、彼と朝のPhoを食べるため――その約束だけで眠気は少しだけ和らいだ。

シャワーを浴び、タクシーに乗り、彼が愛してやまないPhoの店へ向かう。到着は15分遅れ。だけど、彼も少し遅れてやって来て、僕らは自然と握手を交わした。彼の優しさは顔に滲み出ていて、僕には大きなPhoを、彼自身は小さなものを。朝のPhoは格別だった。ベトナムには“朝の食文化”が根付いていて、こんなにも自然に朝8時に店が開いているのもその証。
彼のスマホには、保育園の娘を映すライブ映像。ドラえもんのチャイルドシートに乗ったその姿に、微笑まずにはいられなかった。

食後はハイランドコーヒーへ。ベトナムミルクコーヒーの濃さに、手が震えるほど。Davidは「だから言ったやん!」と笑っていた。


彼はTシャツまで用意してくれていて、そこにはベトナム国旗を掲げたキャラクター。心の奥がじんわり温まる。
彼は独学でエンジニアになり、今はローカルブランドを立ち上げ、将来は海外へ届けたいという夢を語ってくれた。朝5時に起きて、育児と仕事とブランド立ち上げを両立するその姿に、僕はただただ尊敬しかなかった。
バイクで彼の家へ向かう。3階建ての縦長の家で、クーラーも使わず、節約して服作りに全力を注いでいる。僕には麺と揚げ春巻きのランチを注文してくれて、さらにまたミルクコーヒーまで。

濃すぎて笑ってしまったけれど、その気持ちが嬉しかった。
彼の職場を見せてもらったとき、画面越しの彼がここにいたんだ…と思うと、世界の広さと狭さを同時に感じた。奥さんも帰ってきて、自己紹介をし、3人でお昼ご飯。

ホイアン出身の彼女は、結婚前に撮った写真集を見せてくれた。3キロはあろうかという重厚なアルバム。家族の写真が壁いっぱいに飾られたその家に、ベトナムの家族愛を強く感じた。

「また来てね」「今度は僕が作るよ」と言ってくれたDavidに感謝しながら、握手をして別れた。本当に、出会えてよかった。
ホテルに戻って仮眠。夕方19時、次はHieuとの対面。

彼は既にレストランで待っていた。想像より年上で、33歳だという。娘が2月に生まれたばかりで、育児で寝不足らしい。彼のファッションや筋肉、清潔感に男としての魅力を感じた。彼が注文したベトナム料理は山のように届き、笑いながら少しずつ食べていく。

話すうち、彼がクイニョン出身と知って驚いた。まさに僕の旅先の一つ。運命って、こういうことかもしれない。旅と人がつなぐ偶然は、いつも心を打つ。
彼は内向的かもしれないけれど、だからこそ僕のENFP的な側面が自然に引き出されたのかもしれない。気がつけばたくさん話し、たくさん笑っていた。
「また日本かベトナムで会おうね」と言って、別れた夜。今日という一日は、たしかに心の中で深く輝いていた。



