〜心のままに歩く旅〜
「Balot食べてみる?」フィリピン人の友達に勧められ、殻を割ったら——

「Balot食べてみる?」フィリピン人の友達に勧められ、殻を割ったら——

出会い, ストーリー, 面白い体験
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空港のアンケート調査員と写真を撮り、勇気を出してInstagramを交換。夜21時、イロイロ空港で待っていたのは、1年間メッセージを交わしてきたAJ。短髪でクールな文体だったから、ずっと男性だと思っていた——「AJはHeだよね?」「Sheだよ〜(笑)」。深夜のドライブで人生初のBalotを食べ、San Miguelで乾杯。新しい仲間との冒険が始まった。

朝、少し遅めのはじまり

目が覚めたのは9時30分。
静かな朝だった。
でも、今日は仕事のミーティングがある。のんびりしていられない。

急いでシャワーを浴びて、歯を磨く。
目覚めきらない頭のまま、屋上のバーへ向かった。
ここが、今朝のオフィス。

潮風が肌に触れる屋上でのMTGは、コードやメディアの引き継ぎについて。
約45分。
けれど、それ以上の時間が、風と共に流れていたような気がした。

空への準備と、ホステルのベッドの上で

MTGを終えると、次はパッキング。
今日はマニラを経由してイロイロへ向かう。
バックパックは、預け荷物モードに。

旅のパッキングって、何度やっても少し楽しい。
「面倒だな」と思いながらも、それが旅を旅たらしめてくれる儀式のようで。

ホステルの二段ベッド。僕は上段。
いちいち梯子を上って降りて、ちょっと大変。
でもそれもまた旅らしさ。

そんな中、ルームメイトの女の子が反対側で寝転んでいた。
彼女は、どこか僕と似ている気がした。
ソーシャルな場がちょっと苦手で、一人でいるのが落ち着く。
昨日は誰かと電話をしていたけれど、今朝はまた静かに一人だった。

彼女は、いつもはカーテンを閉めているのに、
今日は開けたまま。
僕がパッキングしているときも、閉めようとしなかった。
うつ伏せではなく、あえての仰向け。
しかも、こっちを向くように。
「気づいてほしい」と言わんばかりに、
大きなお尻が、視界に飛び込んできた(笑)。

バナナのドライフルーツと、ひとつの小さな後悔

昨日買ったバナナのドライフルーツ。
食べかけのまま、残っていた。

「これ、あげようかな?」
ふと、彼女に手渡す自分を想像した。

でもすぐに頭の中で、声がした。
「こんなの、誰かが食べたやつなんて…いらないでしょ。」

結局、勇気を出せなかった。
ゴミ箱の上に、そっと置いて、チェックアウトした。

だけど今も思う。
「Hey, do you like banana? I’m about to checkout, but if you’d like, you can have the rest」
そう言えていたら、何かが変わっていたかもしれない。

彼女と僕には、きっと似た気配があった。
だからこそ、もしかしたら、友達になれたかもしれない。
ほんの一歩。あとほんの少しの勇気が、足りなかった。

それが、今日の小さな“失敗”。

だけど、確かに感じた「変化」

でも最近、僕は少しずつ変わってきている。
心を開くこと、前よりも少しだけできるようになった。

旅が僕を柔らかくしてくれているのか、
それとも、人との出会いがそうさせてくれているのか。
「余裕」が、少しだけ、心の中にある。

だからきっと、次はできる。
「これを言わなかったら後悔するかも」
そんな瞬間に、勇気を出せる気がする。

ラザニアが酸っぱい。そしてミネラル不足を感じる

チェックアウトを済ませて、カフェへ。
近くの店に入ると、店員さんがとても感じの良い人だった。

ラザニアと、マンゴー&バナナ&抹茶のスムージーを注文。
スムージーは天国みたいに美味しくて、心まで潤った。
でも、ラザニアは……もう二度といらないって思うくらいだった(笑)。

そのあと、急にお腹が痛くなってトイレへ。
昨日か一昨日のなにかが原因か。
「マグネシウムとカリウム、抜けちゃったな…」と、
そんなことを考える自分が、少しおかしかった。

ベトナムで毎日下痢していた頃を思い出した。
帰国の日、空港で熱中症になって、手がしびれた。
あの時から、ミネラルの大切さを忘れないようになった。

トライシクルと、写真を撮らなかったことへの小さな後悔

空港へ向かうトライシクルの運転手さんは、とても感じが良かった。
60ペソの交渉が80になったけど、まあいいよと頷いた。

信号で止まると、隣のバイクと話したり、僕に話しかけてくれたり。
スキューバダイビングのことも聞いてくれた。
でも、バイクのエンジン音でほとんど聞こえなかった(笑)。

「写真、撮ればよかったなぁ」
彼の人柄が、あまりに良かったから、思わずそう思った。

今度からは、勇気を出して言おう。
「一緒に写真、撮ろうよ」って。

写真は、ただの記録じゃない。
誰かを「見てるよ」「大切にしたいよ」っていうサインなんだと思う。

空港のベンチで交差した微笑み

PPC空港に着く。
この空港、やっぱり可愛い。小さくて、ちょっと古びてて、田舎の香りがする。
旅の始まりでも終わりでもない、静かな通過点。
でも、僕にとっては記憶の一枚になる場所。

チェックインを済ませ、セキュリティを抜けて、ゲート前のベンチへ。
風がなくても、なぜか空気が柔らかい。
そんなときだった。
ひとりの女性が話しかけてきた。

「Sorry, can you input form? We are travel survey organization」

手にはチラシとペン。
最初は疑った。「これ、あれじゃない?名前書いてる間に何か盗られるやつ」って。
だけど、顔を見ると安心した。
その目には、ちゃんとした人の温度があった。

一緒に写真を撮ることに

「一緒に写真、撮ってもいい?」と彼女が言った。

ほんの少し、胸がどきりとした。
別の男性がシャッターを切ってくれた。

笑顔が、自然と出た。久しぶりだった。
あぁ、自分って、こんな顔もできるんだ。

アンケートを書き終えたあと、少し勇気を出して言ってみた。

「さっきの写真、もらえるかな?」

彼女は、少しだけ顔を引きつらせながらも
「いいよ〜、でもちょっと暗いけど大丈夫?」と笑った。

「記念に欲しいんだ」と伝えた。
そして、Airdropで送ってくれた。

インスタの交換、そして繋がりのはじまり

彼女は僕のOsmo Pocketを見て「もしかしてブロガー?」と聞いた。

うれしかった。
「うん、始めたばかりだけどね。フォロワーはまだ500人くらいしかいないんだけど、これから成長していきたいと思ってる」と伝えた。

「もしよかったら、インスタ交換しようか」

自然に言えた。昨日のバナナのドライフルーツとは違う、ほんの少しの“勇気”が出せた瞬間。

彼女のプロフィール写真には、飛行機の中の景色が写っていた。
ああ、空が好きな人なんだなと思った。

アンケートをしたお返しにとくれたパスポートケース

繋がるって、こういうことなんだ。

傘をさして向かう、空への散歩道

時間が来て、飛行機へ。
AirAsiaのスタッフが、一人ひとりに傘を配っていた。
空港のゲートからタラップまで、日差しの中を傘を差して歩く。
80メートルの短い距離。

僕は、Osmo Pocketでその光景を撮影した。
日差し、傘、笑顔、CAさんの微笑み。
ひとつひとつが、旅の粒。

CAさんが「Hello!」と笑ってくれて、
僕も少し照れながら「Hi!」と返した。
そんな瞬間が、心に残る。

空港で待っているときに食べた今日の夜ご飯

マニラに戻る時の機内食
イロイロへ行くときの機内食

ついに初対面!HelloTalkで1年前に出会った友達

イロイロに到着したのは夜の21時。

荷物のターンテーブルが見つからず、他の人に聞いたりしながらようやく受け取る。
派手な蛍光カバーのおかげで、すぐ見つかった。

そこに、久しぶりのメッセージ。「空港に着いたよ!Kota!」

AJとついに会う。
HelloTalkで知り合って、1年近く文字だけのやり取りだった。
会ったことも、話したこともなかったけど、
なぜか「一緒に旅行行こう」という話になった。

……だけど、驚きの真実。

彼だと思っていたAJは、「She」だった。
短髪で、メッセージもクールだったから、ずっと男性だと思い込んでいた。

思わず、「AJはHeだよね?」と聞いてしまったけれど、
「Sheだよ〜(笑)」と返された。

真夜中のドライブ、仲間との出会い

AJの友人たちと合流。ドライバーのPing、彼女の恋人Rachelle、ムードメーカーのBem。
このグループの中で、男性は僕ひとり。だけど、不思議と居心地は悪くなかった。

目的地は、Gigantes Norte。
3時間のドライブ。時刻はすでに22時を回っていた。

途中、セブンイレブンでトイレ休憩。
屋台の前でPingが笑いながら言った。

「Balot知ってる?フィリピン名物だよ。試してみる?」

人生初、Balotを食べる

なんだろう?と見ると、卵だった。
「ただのゆで卵じゃん」と思ったのも束の間。
殻を割ると、黒い影が見えた。

え?
……これは、孵化しかけのアヒルの卵?

一瞬ひるむ。
でも、Pingの笑顔と、「文化を味わう」という自分の信条が背中を押してくれる。

ビネガーと塩をかけて、一口。
卵の味に、生々しい命の香りが混じる。
正直、美味しくはなかったけど、忘れられない味だった。

次の日、下痢だったけど(笑)。

モーテルの夜と、San Miguelの小さな乾杯

到着は深夜0時を回っていた。
そのままモーテルのような場所に立ち寄り、数時間だけ仮眠。

Pingが教えてくれた。
彼女はAntique出身で、FBIのような職業に就いている。
犯罪捜査の仕事。すごくかっこいい。

豚肉のおかし。すごく変な味がした

夜中3時に、ビールを分けてもらった。
San Miguelのアップル味。ほんの一口だけ。
Bemがからかう。

「Kota、それは女の酒やぞ〜(笑)」

みんな笑った。
その輪の中に、自分もいた。

続く物語のはじまりに

その夜、僕は車に戻って仮眠をとった。
Bemが吸う重たい匂いのベイパー。犬の遠吠え。
少しだけ不安。でも、少しだけ安心もある。

まだ冒険の入り口。
だけどもう、心の扉は少しだけ開き始めている。

旅が、少しずつ、僕を変えていく。

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● Profile

Kota Ishihara(いしはら こうた)

近畿大学理工学部生命科学科卒業。卒業後は、Webサイト制作を独学で勉強し、2022年10月にフリーランスに。その後、海外に拠点を移すために海外視察を開始し、ヨーロッパ、東南アジアなどを一人で冒険をし、さまざまな人と交流する。将来の夢は、ヨーロッパに移住し、クリエイティブ・多国籍企業を作り、多種多様なクリエイティブプロジェクトをしていくと共に、パイロットになり世界を旅すること。音楽・ファッションなしでは生きられない。イヤホンにはとても辛口評価。尊敬する人は岡本太郎。

#同じ旅の余韻