朝6時、Pingが車のエンジンを静かにかけた。まだ眠そうな空の下、僕たちは港へと向かう。今日はいよいよ、アイランドホッピングの一日だ。目的地は、Gigantes Norte島。どこかのんびりとした車内、セブンイレブンで買ったサンドイッチを朝食にしながら、眠気と期待が混ざりあう時間を過ごす。

港に到着して駐車しようとしたそのとき、トラブルが起きた。前輪がまさかのパンク。全員いったん降りて、近くの修理所へタイヤを持っていく。これも旅の一部だと思うと、なんだか笑えてくる。

待ち時間の間、僕たちはそれぞれの時間を過ごした。RachelleとPingは土産物屋を見て回り、僕はGigantesと書かれたかわいい磁石をひとつ購入した。BemやAJは日向ぼっこしながらスマホをいじっていた。
僕はBemと話し始める。「今、何してるの?仕事?それとも学校?」彼女は笑って、「仕事なんてないよ。今はただ家でゴロゴロしてるだけ」って冗談を返してくる。彼女はいつもジョークばかりで、その明るさに救われる。Rachelleとはもっと深い話をした。僕の世界一周のこと、仕事のこと、英語の勉強法まで。彼女は警察大学で講師をしていて、なんと120人の生徒の前で授業しているという。さらには、外国人に英語も教えているというのだから、本当にすごい。
その話を聞きながら、僕も昔Preplyで日本語を教えた経験を思い出した。英語力も教材準備もまだ未熟で、すぐに挫折してしまったけれど、それも今の自分の一部だ。
待合室ではAJと隣同士になり、飛行機の話で盛り上がった。彼は航空エンジニアで、1日8機もの点検を担当しているという。AIRBUSとBOEINGの違い、羽の形、窓の設計、マニュアルと自動点検の違い……彼の知識に驚かされる。僕がAIRBUSの座席が広いことに気づいていたと話すと、それは正しいと彼が教えてくれたとき、自分の感覚がちょっと誇らしくなった。

いよいよ名前が呼ばれ、僕たちは竹と木でできたフィリピンらしい双胴船に乗って、海へ出た。しぶきを感じながら、光るエメラルドグリーンの海に胸が高鳴る。

最初の島に着いたとき、水着を履いていなかった僕は、着替える場所がなくて人のいない場所でこっそり着替えることに。ちょっとした冒険だ。

島を巡りながら、写真を撮り、海に潜り、崖を登る。Rachelleは写真が大好きで、Pingに何度もシャッターをお願いしていた。AJやBemは写真よりその瞬間を楽しむタイプ。そんな空気感も、それぞれの性格が表れていて好きだった。

DJI Osmo Action 5 Proを初めて水中に入れるも、次の島で壊れてしまったことに気づく。水が入り、ストラップスティックも失くしてしまう。ショックだったけど、「また買えばいい」と思えるようになったのは、旅をしているからかもしれない。

その後も、エメラルドの池や魚たちとの出会いが続く。ココナッツジュースの甘さ、ゴーグル越しに見える世界。全てがキラキラしていた。

昼ごはんは島のローカルスタイル。大量の貝、カニ、魚、スープにバナナ。みんな手で食べていたので、僕も挑戦。人生で初めて手でご飯を食べた経験。笑いながら、Pingにカニのむき方を教えてもらった。

午後はさらに2つの島、そして洞窟と灯台を訪れる。
洞窟では懐中電灯を持って中を進み、結晶の光を楽しむ。
灯台では子どもたちが貝殻を売っていたけど、細かいお金がなくて買えず、申し訳なさを感じた。

夕暮れ時、僕たちは波止場の近くのビーチへ。オレンジから群青色へと変化する空を眺めながら、Pingが配ってくれたピーナッツを食べる。

子どもたちにとってそれが高価な食べ物だということを思い、旅のありがたみを改めて感じた。


夜はTanduayというラムと粉ジュースで、Bem、Ping、僕の3人で乾杯。それぞれの人生や思いを語り合った。

そして、僕が持ってきた「LifeTipsノート」に、みんなが言葉を残してくれた。AJは「飛行機も風に逆らって離陸する」と書き、Rachelleは「いつもハッピーでいる選択をして」と。そしてBemは、彼女らしく「Tanduay every ok.」

Pingは夜、僕を海に誘って、自分の過去を打ち明けてくれた。溺れた記憶、命を終わらせようとした夜、それでも今こうして生きている理由。彼女が言った「YOLO(You Only Live Once)」という言葉が、今日という日の全てを象徴していた。
1時に雨が降り出し、眠りについた。明日は5時40分起きだ。だけど、僕の心は静かに熱かった。この一日は、人生で忘れられない一日になった。




